あの景色を覚えてる

人生の節目となる瞬間、その瞬間の光景というのは頭の中に残っているものだ。受験の合格発表の瞬間とか、内定をもらった瞬間とか、あと初めて海外(オーストラリア)に行ってナイトバスツアーみたいなのに乗せられてギャン泣きして祖母にハンカチをもらった瞬間とか。

しかし、覚えている光景というのはそんな大きなイベントの瞬間だけではない。むしろ、そのイベントの周辺の方が覚えていたりするし、特に大きな出来事のなかった平凡なときのことを鮮明に思い出せたりもする。

 

例えば入社のとき、寮に入った時とか入社式の時よりむしろ、寮に行くまでに乗っていた上野東京ラインの車窓の景色の方が鮮明に覚えている。

配属先への初出社の時も、実際に社内に入って挨拶とかしている時よりも、乗っていた電車の車窓の景色をはっきり覚えている。こいつ車窓が好きだな。

大学入試の時は、受験会場の光景よりも泊まっていたホテルに行くための地下通路の方が記憶に残っている。あと、受験のあとに行った父親と行ったラーメン屋……に続く道の景色もはっきり思い出せる。駅から遠かったし。

大学時代になぜか徹夜した朝に小雨の小汚いベランダに出てボケボケしていた景色も覚えている。高校時代の体育祭で出し物に揉めていた会議のことも覚えている。どうでもいいなあ〜早く終わんねえかなあ〜とずっと思っていた。

中学時代はなんか全校集会でスピーチをすることになって、そのスピーチ自体はあんまり覚えてないけど、スピーチの内容を先生と詰める作業をしていた光景は覚えている。この学校にこんな部屋があったんだって思った。

それ以外だと、小学生の頃に一時期入院してて、退院したときにお帰り会みたいなのをクラスのみんなが開いてくれたんだけど、そういう会があります!みたいなお知らせを偶然発見した瞬間も目に焼き付いている。なんか不自然に隠されている場所とかあってなんだろうなと思ってたんだけど、点と点が線で繋がった瞬間だった。肝心の会自体は何してくれたか覚えてない。

あとは……あっ、なんか昔を懐かしむモードに入っちゃったのでオチとかはないです。