天の下、一の品

天下一品というラーメンチェーンがある。メチャクチャにこってりしたスープのラーメン屋だ。あっさりは食べたことない。

僕はラーメンが好きなので、まあちょこちょこと色々なところに通ってたし、思い出深いラーメン屋もある。でもそんな中で天下一品は別格だ。僕の中で唯一特別な思い入れがある店だ。いや、嘘だな。特別な思い入れがある店は3つくらいある。その中の一つ。

大学受験をした際、受けた大学があった街に天一の総本店があった。受験が終わったら絶対に行こうと決めていた。なんならそっちが主目的くらいだった。

そして受験が終わったあと、迎えに来てくれた親と合流し、なんの手応えもなかった気持ちを抱えながら電車を3本乗り継いで向かった。もうここに来ることはないんだろうなと思いながら牛すじキムチラーメンとチューリップの唐揚げを食べた。親が慰めてくれて、情けないようななんとも言えない気持ちになったのをよく覚えている。

 

まあ大学には受かっていたし、なんなら下宿先が天一に行ける範囲内にあったんだけど。

そんなわけで特別な思い入れがある天一なわけだけれど、必ず食べるタイミングがあった。それは、帰省前日、夜行バスに乗る前のタイミングである。頼むメニューはこってりのスープライスセット。普通にラーメンを食べたあとの汁に明太子と海苔が乗ったご飯をブチ込んで食べるという狂気のメニューである。これを食べて家に帰って準備をして夜行バスに乗り込み、翌朝体調と腹が悪くなるというのが僕の帰省のルーティーンだった。特になんの意味があったわけでもないけど決まり事だった。

そんな感じで夏冬は必ず、それ以外にもちょこちょこ通っていた天一だけど、引っ越してからめっきり行かなくなった。地元にも今の家にも近所になかったからだ。だが今日、たまたま遠出する用事があって、目的地の近くにあることを見つけた。これは行くっきゃないっしょ!と意気揚々と向かって食べてきました。

変わらないですね。あのこってりでドロドロのスープ、旨味を凝縮させてちょっと漏れ出ている感じが良かったです。不健康という概念を具現化したみたいな味がたまらなかったです。

さすがにスープライスをつけるほどの胃のキャパは残ってないのでラーメンだけにしましたが、あの頃を思い出して懐かしかったですね。食べたあと数時間経ってちゃんとお腹が痛くなるのも懐かしい。こんな感じだったな〜。確実に胃腸にダメージを与えてくるんですよね。いや、ホント懐かしいなあ〜。こんな痛さだったな〜。ホント大変だわ。つら。