ロストメモリー

もし仮に、目の前に全知全能の神が現れたとするならば、何を尋ねるだろう。誰も持ち上げられない石を作れるかというのはベタすぎるからなしにして、僕はとりあえず「ちょうど一週間前、先週の木曜日の僕の夕ご飯は何か」と聞いてみるかもしれない。

ちなみに正解はほっともっとで買ったロースカツとじ(おかずのみ)と冷凍ご飯なんだけど、この事実は僕以外誰も知らない。ギリギリほっともっとの店員さんなら分かるかもしれないが、それでも目の前の存在が全知全能の神かほっともっとの店員の二択に絞り込める。

こんな感じで、僕は基本的に誰かのすべてを知ることなんて絶対に不可能だと思っている。誰かが一人でやったことなんて基本的に分かりっこないし、何かしらの方法(監視カメラとか)で知ったとしても、誰かが考えたことなんて分かるはずもないからだ。

多分僕の対人恐怖症の根源はこういう思想が少しは影響している気がする。極端に言えば何をしているかも何を考えているかも分からない存在とコミュニケーションを取る、みたいな。そこまで深刻に考えたことはないけど。

 

さて、話を本題に戻します。そもそも本題がなんだったのか分かりませんが。

上で他人が何をしていて何を考えているかなんて分かりっこないと書いたけど、それは別に他人に限った話ではない。もう一度全知全能の神さんに登場してもらって、今度は別の質問を投げかけてみたい。それは、「ちょうど十年前、2012年9月8日の僕の夕ご飯は何か」である。

ちなみに正解は知りません。もう知ることもできません。毎日食事の記録を取っているわけでもないし、メチャクチャ記憶力がいいわけでもない。当時は中学生だったから親が作ってくれてたけど、絶対に覚えちゃいないだろう。実際にあった事実なのに、それを誰一人として覚えていない。二度と思い出されることがない。

こんな風に永遠に失われたままのメモリーが無数にあるんだろうなとたまに考えてしまう。別にそれに絶望することもないし、そのほとんどが忘れられても問題のないレベルのことなんだろうけど。それでも、失われた古代文明とかの数千分の一くらいのロマンを感じないこともない。

 

これを書いててふと思い出したんですが、ドラえもんで過去現在未来のあらゆる事象がのっている辞典みたいなひみつ道具があった気がする。あまりにもデータが膨大過ぎて専用の端末で引っ張り出してくるみたいなやつ。

アレのデータってどうやって調べてるんでしょうかね。タイムマシンとかタイムテレビとかで事実を確認はできるとはいえ、それをデータ化するってあまりにも途方も無い作業すぎる気がします。検索をかけると同時にすごい頑張って調べに行ってるんでしょうか。