寝ちゃいけない屋

午前中に珍しくリモート会議があった。なんか内容があんまり今してることと関係ない上に小難しかったし、話し方に抑揚がなかったし、かと思えば質疑応答では双方が一歩も引かないでひたすらに喋り続けるハーモニーを聞かされた。

率直に言って眠かった。こんなつまらないこと聞かされるなら寝たいよ〜と思っていた。でもちょっと離れた席で上司も聞いてるし、そもそも業務時間中だし眠れるわけがない。とりあえず舌を噛んだり、うろ覚えの眠気に効く手のツボを押したりしてしのいでいた。

頑張って起きている間、このシチュエーションで眠れたら最高だなと思った。絶対に眠ってはいけない状況での眠りは気持ちいい。背徳感と罪悪感をまどろみに溶かして落ちる眠りこそ、一番の快楽なような気がする。

こんなサービスの店が欲しい。絶対に眠ってはいけないシチュエーションで眠れる屋。会議中とか、授業中とか、終電とか。そういった状況を再現して、その上で好きなように眠れる。すごく楽しそう。ぐっすり眠れそう。派生サービスに徹夜しているときの仮眠を本眠にしてくれるみたいなやつもいい。

ただこれには問題点が2つあって、1つ目は眠っていいよと言われている時点で背徳感を抱かずに眠れることだ。むしろ、寝なきゃいけないという変なプレッシャーに襲われることになる。 

そしてもう1つは、この店でのサービスに慣れたら、リアルで寝ちゃいけない状況に陥ったときにむしろ積極的に寝にいってしまうという、最悪のパブロフの犬が誕生しかねないことだ。