3年目の決意

朝、電車に乗るとまだ綺麗なスーツに着られている初々しい顔が並んでいた。今年もまた社会に飛び込んだ者たちが出てくる日になった。普段は朝の通勤時間帯ですら空いていて座れる電車も、今日はかなり混んでいた。

今日は4月1日、僕が社会人になって3周年だ。普段は適当に生きている僕も、この日ばかりは少し意識高く過ごしてしまう。

だが、普段より多い乗客のせいなのか、はたまた季節外れの冷たい強風のせいなのか、電車がかなり遅れた。その結果、会社に着くのが本当にギリギリになった。なんならちょっと小走りで行った。

会社に着くと見知らぬ顔が一つ。どうやら新人らしい。前々から話は聞いていたが、僕が教育係を務める。まだ入ったばっかだと思っていたのに、いつの間にかそんなことを任される立場になっていた。

とは言っても今日は初日なので仕事らしい仕事なんてほとんどない。会社についての説明を受けたり、会社の設備についての話を聞いたりしていた。せっかくなのでと僕も一緒に聞いていた。かなり慣れたつもりだったけどまだまだ知らないことも多い。そう遠くない日に教えているつもりが教わることになるんだろうなという予感がした。昼休みは一緒に仕出し弁当を食べながら少し会話をした。

そんなこんなで1日が終わった。僕は大体今日の業務は終わっていたけど、さすがに新人より先に帰るわけにもいかないので別に来週でもいいことをしながら新人を見送り、電車を1本ずらした。

 

別に3年目になったからといって、すぐに頼れる先輩になるわけでもないし、仕事についてもまだまだ分からないことだらけだ。カッコいいやつを演じててもすぐにボロが出るだろう。ただ、これまでは一番下っ端だったけど、後輩ができた。これまで甘えてきた分、甘えられるような存在にはなりたい。別になれなくても、なろうとする姿勢だけは持ち続けていたい。そんな3年目の初日でした。