人の金で焼肉は幸せか

誰かにご飯を奢ってもらうということは基本的には嬉しいことだ。実際、親しい友人に奢ってもらったり家族にご飯に連れて行ってもらったりするときはよっしゃラッキーという気分になる。だけど、ご飯を奢ってもらうという状況は必ずしもそれだけではない。そして、そういう状況が僕はあんまり好きじゃない。自分で金払うから一人で食わせて貰えないかなと思ってしまう。僕の星の数ほどある悪い所の一つである。

これが最も顕著に出たのは大学の新歓である。新歓ではタダ飯を餌に新入生を釣りがちだ。4月は新歓を渡り歩くだけで食いつなげるとはよく言われていた。実際、入学したてでバイトもまだしてない、親からの仕送りだけで生活していた僕にとってはタダ飯は魅力的だった。でも結局3回位しか行かなかった。見知らぬ人とご飯を食べるのが苦痛だったし、なにかしらの会話をしなきゃいけないのも苦痛だった。本当にゴリゴリ精神が削られていく思いがした。それでも、入りたいサークルはあったので頑張って新歓に参加していたし、新歓コンパにも行った。今から考えれば精神力が当社比ですごい。

そうやって入ったサークルで、どうしても我慢できないことがあった。そのサークルはOBの影響力がわりかしあって、年に数回OBとの懇親会があった。流石に現役生の分はOBが出してくれるんだけど、タダ飯だラッキーという気持ちは欠片もなかった。ほとんど話したことないOBと会話を続けなきゃいけないという苦痛、そしてなにより自分の時間が奪われているという感覚に耐えられなかった。入って1年くらいでそのサークルはやめた。

そして今日、某感染症も大分落ち着いてきたということで、長らく延期になっていた僕の歓迎会が行われた。歓迎会といっても大したものじゃなくて、お酒やジュースと食べ物が並べてあって少人数で歓談するくらいの感じのやつだ。こんなところで書く必要もないけど一応感染対策はしていました。これが数週間前から企画されていたんだけど、僕はこれが嫌で嫌でしょうがなかった。わざわざ自分のために歓迎会を開いてくれたのに本当に申し訳ないし僕が全面的に悪い話ではあるけど、自分の気持ちに嘘はつけない。まあ実際に口に出して言うことも表情に出すこともしなかったんだけど。

別に会社の人と仲が悪いわけでも嫌っているわけでもない。職場では普通に話せるしそれなりに居心地がいい空間ではある。でもなんだろうな、一緒に食事をするのができない。多分僕の中で食事はプライベートの一部という感覚があるし、プライベートはなるべく誰にも干渉されたくないという感覚もあるのかもしれない。

その上で、奢られるとなると奢られているなりの何かしらを残さなきゃいけないという気持ちに囚われてしまい、それで余計その会が嫌になってしまう。タダで飯を食うにはそれなりの対価が必要なんだという気分になって一人で勝手にどんどん嫌な気持ちを膨らませていってしまう。根っからの陰キャじゃん。こんな自分が本当に嫌なので変えたいけどまあそう簡単に変えられたら苦労しないよね。