この時間に起きても焦らない男

日曜日21時、3時間の昼寝から起床。

 

「もう終わりだな、この時間まで寝てちゃ」

「明日は月曜、絶望的だ」

 

そんな強豪校の選手の会話が観客席から聞こえてくるみたいだ。

それでも、俺の心は不思議なほどに凪いでいた。起こったことをすべて受け入れ、それでいて焦りはなかった。まるで逆転の秘策があるみたいだった。

事実、秘策はあった。まず、これからすべきことが決まっていた。ご飯を食べて、お風呂に入って、赤月月にお便りを書いて、寝る。これだけだ。ただ淡々とこれらをこなすだけ。泣こうが喚こうがやるしかないのだ。覚悟は決まっている。

ただ、それだけでは説明できないほど俺は落ち着き払っている。この量のタスクを2時間でこなせるはずはないし、こんな時間まで寝ていたら夜にちゃんと布団で眠りにつくのにも支障をきたすはずなのにだ。

そこに奇策があった。この状況を打開する奇跡の一手、その布石がもうすでに打たれていた。

 

だって明日は、有給だもんよ。