君、どこからきたの

麻婆豆腐を作ろうと思って、豆腐を買いに近所のツルハドラッグへ行った。店に入って、オレオが平積みされているのが目に入って、一つカゴに入れた。そして冷蔵のコーナーに行き、豆腐を入れた。

一応確認のためカゴの中を覗いてみると、オレオと豆腐と、歯ブラシが入っていた。

人間って思いもよらないものを見ると、ちゃんと二度見するんですね。ただの歯ブラシが、得体のしれないものに見えた。ほんのちょっとだけ恐怖だった。

まあでも所詮はただの歯ブラシだし、この間歯ブラシは買ったばかりで用もないので、元の売り場へと戻しにいった。歯ブラシ売り場へと向かいながら、一体どうやってこいつはカゴまで来たのかなと考えた。

ありえる可能性は3つ、誤って入ったか、誰かが入れたか、最初から入っていたか。

誤って入るのはまあ考えられない。お菓子コーナー→冷蔵コーナーという動線から、歯ブラシ売り場は完全に外れている。入り口に特設コーナーがあったわけでもない。これは違う。

そして誰かが入れた、これも違うと思う。店の中で誰かとすれ違った記憶がないし、多分入れられたら音とか気配で気づくような気がするんだよな。あと、見知らぬ他人のカゴに歯ブラシを突っ込む狂人が近所に住んでいるとは考えたくない。

そうなると、最初から入っていたことになるんだけど、それもないような気がする。カゴを手に取ったとき、ちゃんと確認したわけじゃないけど、なんとなく入ってたら分かると思う。ちょっと傾けただけでカサカサいいそうだし。

こうして3つの可能性が除外された。だとすると、もうあり得るのは一つしかない。歯ブラシが自分でカゴに入り込んできた、というものだ。確かにありえないかもしれない。でも、一つずつ不可能を排除していって残ったものなので、たとえどんなに信じられなくてもこれが真相なんだろう。

こうなると次は、歯ブラシはどうやってカゴに入ってきたのか、そしてなぜ歯ブラシは入ってきたのかという2つの謎が浮かび上がってくるが、なんか急激に熱が冷めてきたので別にいいかなって気分になってきた。とにかく、不思議だな〜ということがあったってことで。