おでんをおでんたらしめる物は何か
あったか〜いおでんが食いたいなと思ってスーパーに行った。
おでんはいい。懐が深い。どんな食材を入れても大体は許容してくれる。実家では豚バラの角切りが入っていた。
出汁を効かせたつゆに様々な食材をブチ込むと、ともすれば収集がつかなくなってなんの料理か分からなくなってしまうかもしれない。でも、おでんはおでんだ。どんなに多種多様な食材が入っていてもおでんとして成立する。ではそのおでんとして成立するためのキーパーソンは一体誰なのか。
最初はこんにゃくと大根だと思った。三角形の大きなこんにゃくはおでんを象徴するアイコンであるし、すべての旨味が染み込んだまんまるの大根は名実共におでんのエースだからだ。
では、皿にこんにゃくと大根を乗せてみよう。つゆもちょっとかけるし、カラシも添えておこう。果たしてこれでおでんと言えるだろうか。僕はこれを想像したとき、おでんとは言い切れなかった。だが、ここにもう一つ足すことで劇的に変わった。それは、ちくわだ。
ポツポツと焼き目がついた細長いちくわ。これを皿に乗せる。完全におでんになった。こんにゃく・大根・ちくわ。おでんから要素をどんどん取り除いていってギリギリ成り立つラインがこれだと思う。キーパーソンはちくわだったのだ。普段はチーズかキュウリを突っ込まれているだけの存在なのに、ことおでんにとっては肝心要の欠かせない存在になるのだ。よく煮込まれたちくわは美味しいし、細長いビジュアルは鍋全体が締まる。そして、ちくわをストロー代わりにつゆを吸う行為は子供の頃誰もが通った道だ。
この三種の神器さえ揃っていれば、あとは何を入れてもおでんになる。はんぺんや牛すじなんかは外せないな。餅巾着とかさつま揚げもいい。厚揚げとかも入れたいし昆布も入れなきゃ……。
面倒くさくなったのでチンジャオロースを作りました。